トンっ と背中を風に押され 厚手のコートはクローゼットの奥へ 梅花の終演を惜しむ間も無く 桜色にシフトした流れゆく車窓 ヒートテックの襟元がうっすらと汗ばみ 昼前にはもう手離そうかな と思う今日この頃であります 冬は何処へ 心なしかまだ華やかさへの 準備が整わぬうちに 春はやって来るのです 心の底に置き去りにされた 不安定な空模様は 心地良い肌温で息を吹き返す 五感に触れる春が 好きだから 悔いは残したくないのです